夏のバスプール

2012年7月26日 読書
ISBN:978-4-08-775411-7 単行本
畑野 智美 集英社 発売:2012/7 1,575円

ある高校生の身の回りに起こる1週間の出来事は
夏休み直前の少し高揚した気分と
憂鬱な追試や予定の定まらない不安に対して
少し世界を広げる一手になりそうな予感
をもたらしてくれているようで
そのまま導かれるように
トントンと読み進めてしまいました。

暑さや梅雨の中の少し気だるい日常の中に
ちょっと身構えざるを得ない事情が突然やってきたり、
自分のものの見方他人のそれが違うということに改めて気付く機会を得たり。
ただ、深刻にも捉えられる事態をそれほど考え込むことなく
淡々と受け止めたりしている部分になぜか若さを感じてしまったり。

震災の次の年、夏休みの直前、13日の金曜日というところから
どうも本当の話のようで。
しまった、少し読むのが遅れた…。
実際にこの作品の舞台となったどこかでこういうことが起こっていたら…
当事者だったら少し大変かもしれないけれど
客観的に出くわすことが出来たらキュンとしてしまうかもしれませんね。

主な登場人物たちが高校1年生、ということは
16歳でちょうど自分の半分の年なんだなぁと思うと
少し遠くなった話の気もするけれど。
自分が高校生だった頃には
彼彼女のようにほんの少し気の効いた言い回しで
会話や日常を作り上げていくことが出来ていたかなぁと思うと
自信はないです。

著者は自分とほぼ同年代の方のようですけれど
今の高校生と触れ合ったりする機会があるんでしょうかね。
自分にはないので今の高校生も自分たちの頃と
そう変わっていないとよいなと思う部分もあり。

甘酸っぱさと疾走感の中で夏休みの訪れを
楽しんで待つことが出来そうな1冊だったなと思います。

コメント