ISBN:978-4-08-746011-8 文庫
森 絵都 集英社 発売:2006/2 580円

友達、先生、家族、アルバイト、恋人などなど。

1人の少女の10代を通して描かれる出来事は
時代の違いがあったり全てではないにしろ
多くの人が経験したり出くわしたりしてきたことなのかなと思います。

自身でこうなりたいというのはないのだけれど
こうしたいというのはあって
それをできる機会を得られなかったり
できる機会を得られたとしても
理想とは違ったまたは隣り合った陰の部分を知ることで
上手くいかなくなってしまったり
時には道から外れそうになったり。
ただそれらをここまできっちりした
言葉で表現できることは自分にはできなかった気がします。

自分の彼女達と同じ時代は
今から考えると大きさとしては似たような世界で
何かしようとしても
親の壁があり、金銭的な壁があり、その他様々な壁ありで
上手くいかないことの方が圧倒的に多かった記憶しかなくて。
閉塞感を感じながらも、少しずつ世界が広がっていくのを
じっと耐えて待つことが多かったように思います。

自分の力が足りなくて、権限がなくて果たせないことは
大人になった今でも時々あるし、生きている限りはまだまだありそうだけれど
結果的に今、当時の世界が小さかったと感じるくらい世界が広がったことは
幸せと言えるものなのかもしれないなと。

個々の出来事は苦いものが多いけれど
思うところが共有できる部分があるのと、
こういうものを抱えて生きている人も多いのかなと感じる部分があるのとで
少しの安心感を持って読み終えることができた1冊だった気がします。

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