ISBN:(上)978-4-06-275822-2 (下)978-4-06-275823-9 文庫
辻村 深月 講談社 発売:2007/8 860円

雪の中登校してきた、普通のはずの校舎の外に出られないという
不思議な空間に閉じ込められたクラスメイト達。
一定の時間が訪れることによって1人また1人と姿を消していく
この空間に彼女らを閉じ込めている人物は誰なのか、
その鍵は学園祭に起こった事件につながっていて。

欠落した肝心な部分の記憶を探るうちに
描写される個々の内面や過去は
それぞれが賢さ、優しさ、強さを伴いつつも
切なさを同時に抱えていて
青春を形作っているのは輝きの部分だけでなく
影の部分も大いにあるということに改めて気付かされた感があります。

この凝った造りの世界を創り出したホストは
なぜこの人物をここに取り込むことができたのか、
もしくは変わり果てた姿で登場する必要があったのか
少し現実として見たくない部分もありますが
その分恐怖感を維持しつつ読めた部分もあって。

できれば10代の頃に一度読んでみたかった1冊でした。

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