ISBN:978-4-09-386252-3 単行本
瀧羽 麻子 小学館 発売:2009/7 1,680円

あと1年もしないうちに卒業の京大生女子が主人公の小説。
七夕の日から始まった恋と
残り少ない中で早々に過ぎていく学生生活は
彼とその仲間と共有する時間だったり
付き合いの長い友人やバイト先で過ごす時間だったり。

好奇心旺盛な分移り気だったりすぐに自信を失いやすい、
確固とした自分がないと思い込んでいる主人公にとって
今までのタイプと違う理系男子の彼には影の部分もあり
それに対する主人公の決意がどこまで本気なんかな?
と少し思ってしまう部分もあり。

最初は京都でなくても良いのでは?と思いつつ読み進めていたのですが
京都らしい部分、学生らしい部分が積み重なっていくうちに
最終的には京都であった方がいいんだろうなと感じるようになりました。
京都で学生生活を送った人達には
懐かしさを感じる部分があったりするのでしょうね。

京大生に関わる作品と言えば近年では
学生同士が不可思議な戦いを繰り広げている話や
さえない男子学生が主人公の話だったりで
京都という範囲に広げてみても
幻想的な祇園祭の話やたぬきの兄弟が出てくる話を
読んだ印象が強烈に残っていて
京都が舞台の本には…ということで
変な方向の期待を持つ傾向にあったような気がするのですが
今回は普通の京都というものを冷静に眺めることができたかなと。

七夕から卒業までの話なので
七夕周辺に限らず1年を通して読むことができる1冊かと思いますよ。

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