ISBN:978-4-06-215628-8 単行本
朝倉 かすみ 講談社 発売:2009/7 1,470円

札幌のとある所にある
ともしびスーパーマーケット鳥居前店。
そこに何らかのつながりがある人達が主人公となる連作短編集。

お互いにちょっと気になってた同士が話をするきっかけの場になったり
日常から離れる、または日常に戻るきっかけの場になったり
働いている同僚がちょっと気になりかける職場であったり、
ちょっと楽しい将来を夢見る人や
甘酸っぱい計画を遂行しようとする人の買い物の場であったり
人によってはちょっと顔を出しにくい場であったり
ともしびスーパーマーケット自体が
何か意志や存在感を持っているわけでなく
そこを中心にそれぞれの人達がいろんな色の糸でつながっていて
それが時間・空間ともに広がりを持った世界を形作っている感じ。

個々の話の終わりが1つの区切りではなく
生活を営むかのように続きがあるという含みを残して
締めくくられつつ、
最後の9作目のスーパーの中心にいる誰かが
全ての糸を引っ張ったんじゃないのか的な話につながっていくわけで。

もちろんいい部分だけでなく
何となく閉塞感というか不器用さみたないものが見え隠れしていて
読んでいく中ですっとするものばかりではないのだけれど
それが生きていることなのかなと考えると
そんなに悪いことではないのかなぁと。

読んでいる最中は途中で少し中だるみ感があったのだけれど
最後まで読み終わってこうやって記している内に
なんか良かったかもとじわじわ効いてくる感じで
ちょっと不思議な1冊の気がします。

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