ISBN:978-4-16-327880-3 単行本
万城目 学 文藝春秋 発売:2009/2 1,650円

鴨川ホルモーは2年おきに40人ずつ、
鹿男あをによしでは60年おきに数人+3匹?、
そして今度は数百万の大阪府民が当事者になる話。

会計検査院が調査した大阪の社団法人の実体と
検査院チームの長が大阪在住時代の35年前に見た大阪城の光景とが
5月31日(木曜なので今年ではないと思うけど)に全てつながる中で
その存在を認めるのか否かという
物語の最初の方では思いもしなかった方向へと話が展開されていくわけで。

今回は不思議な力とかが絡んでいるわけではなく
人間自身が作り上げたもので、
それができたきっかけが何かを勝ち取るというところにではなく
何かを守り通すということにあって、
江戸から明治大正昭和平成と時代を重ねるに連れて
人口も増え、共有すべき人間の数も多くなり、
小さな情報もテレビやインターネットを通して
余計に広がりやすくなった現代においても
口外無用の規律が当事者の中で守られつつ、
有事には訳が分からないのはともかくとして
それぞれが役割を果たして機能することに
それを継いで守ってきた人の言葉の重みを感じつつ。

大阪人のユーモアの根底がこの秘密の共有にあるというのは
少し言い過ぎな気もしますが
自分は大阪生まれでも在住でもないので本当の所は分かりません。

舞台は空堀商店街を含めた上町台地周辺を中心に
大正区や住吉大社の描写等もあって、
GWにふらふらと散歩に出るつもりで
行けなかったエリアと重なる部分も多いので
夏に関西に帰ることができたあかつきには
是非寄ってみたいなと。

大阪で歴史を絡めて何か話を面白くすることはできるのかなと
半信半疑でしたが十分面白い1冊だったかなと思います。

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