恋文の技術

2009年4月8日 読書
ISBN:978-4-591-10875-8 単行本
森見 登美彦 ポプラ社 発売:2009/3 1,575円

友人、先輩、元家庭教師先の生徒、
森見登美彦先生、妹、そして意中の人へ。
能登の地に幽閉された主人公が
文通修行の名の下に
身近な人たちに手紙を綴っていく
その手紙の束の集まりのような小説。

それぞれ宛先別に章立てされていて
少しずつ時間が流れて状況が変わっていったり
他の人宛の手紙を読んでみないと状況が分からなくなってきたり。
ほとんどは主人公自身の文章が連続的に記載されていくので
まさか全てが妄想の片道書簡集か?と思わされる部分もありますが
そういうわけでもないらしく。

相談、虚勢、説教、弁明、妄想などなど
綴られる対象は些細と思えるものがほとんどで
無益と呼べるものなのかもしれませんが
認め方によってか笑えるものになってます。
意中の人宛の失敗書簡の脱線具合
と冷静な分析を伴う反省の章は良かったです。

文通相手によっては1ヶ月くらい返信が来なかったり
知りたいことをなかなか教えてもらえなかったりで
時間がかかってしまうということもあるのですが
長い時間を経ても過去の手紙内容が生きている感じが
するのは何となく不思議です。

最後のお誘いの結果がどうなったのか
気になるところではあるのですが
全体的には面白く読むことができた1冊でした。
次は日付順に読んでみようかなと思います。

コメント