真冬に読んだにも関わらず
夏の気だるい空気が伝わってくるような感じの『窓の灯』。
大学を辞めて姉さんに拾ってもらった主人公。
住み込みの向かいの建物に越してきた男性の様子が気になる一方で
誰ともそつなくやっているような姉さんが少し歯がゆかったり。
そんな中でふとやるようになった夜の散歩の中で
自身の周りの世界が見えてきて。

自分の場合、職場で上司を見ていると自分実力は足元にも及ばなくて
そんな状況が日々もどかしいのだけれど
他の部署を見ていたりや同僚と話をしていたりすると
相対的にはそれほど悲観する必要はないかもと思う時があります。
それは決して実力があることにはならないのだけれど
ほんの少し安心すると言いますか。
この話はその感覚に似てるのかなとなんとなく思いました。

もう一遍の『ムラサキさんのパリ』は
旅行会社と掃除のおばさんとパリのお話。
日常が描かれつつも
遠くのものに思いを馳せる夢が少しあるような。

それぞれぼんやりと先が見えるという意味では安心はしきれないけど
少し不具合をやわらげる事のできる1冊だった気がします。

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