有頂天家族

2007年12月22日 読書
ISBN:4344013840 単行本 森見 登美彦
幻冬舎 2007/09/25 ¥1,575

舞台は糺の森を中心とした京都市内。
ひょんなことから人間によって
鍋にされてしまった狸界の巨匠である父親、
そしてその遺伝子をそれぞれ一部分ずつ受け継いだ
4匹の子供たち。
その周囲に巻き起こる出来事を通して
家族とは何ぞやかを再確認していく、
そんな感じの物語…ですかね。

母親、敵対する叔父といとこ兄弟、師匠の天狗などなど
ほとんどが人間以外の構成です。
五山の送り火を空から眺めてみたり、
風神雷神の扇でいろいろ吹き飛ばしてみたり、
偽叡山電車が街を疾走したり、
人間そのものを描くと受け入れられにくそうなことが
人間以外の形で描かれるとそれほど違和感なく入ってくるのが
不思議な感じがします。

先刻御承知を先刻御承知な関係といい、
若干のベクトルのずれ具合が何とも言えずいい感じです。
このずれが万人に受け入れられにくい部分かもしれませんが…。

読むと京都の街を行く人の見方がまた変わる1冊かと思います。
京都観光のお供に…とまでは言えませんが
のんびり京都を歩く機会がある時に
手にとってみるとよいかもしれません。

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