ISBN:978-4-16-382500-7 単行本
万城目 学 文藝春秋 発売:2013/9 1,995円

今回の主人公は忍者です。
時代が江戸になってから少し経った頃、
戦乱も終り、忍びの必要性が揺らぐ中で
主人公は結果的には体よく伊賀を追い出されて
一介の京の民として暮らす羽目に。
とは言っても定職はなく、
住まいは京の外れのあばら家という状態。

何とか日銭を稼いだりしつつ、
普通の民としての生活に慣れてきた頃に
また忍びとしての任務に引き戻されたり、
時には雲の上の存在から、
時には得体の知れない存在から妙な依頼を引き受けることになったり。

舞台は伊賀から京、京から大阪へと
事件や出来事は次々と繰り広げられていくのだけれど
そこに軽妙さを感じる部分と
元の自身の主や役割とのつながりの中で葛藤や息苦しさを感じる部分ありで。

そこそこ残酷な描写もあるのだけれど
それもまた自分達が歴史という形で学んできた事の
現実的な状態なんだと改めて気付かされたりもしました。

そして散り散りだと思われた出来事や事件が
1つに結びついていく中で
知らなかった事実が明らかになったり、
物凄く大きな事態に巻き込まれていきながら
主人公及びその周囲の人物達はどうなってしまうのか
と予想しきれずに読み進めていった感じになりました。

正直分厚さに読むのをしばらくためらっていましたが
それほど長さを感じずに読めた1冊だったような気がします。

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