ISBN:978-4-591-11830-6 文庫
村山 早紀 ポプラ社 発売:2010/5 588円

少し間は空いたけれど
コンビニたそがれ堂シリーズを連続で。
今回は短篇が3つ。

『星に願いを』の主人公の女の子が
ふと手に入れることができたお弁当箱と万年筆は
あんなおまけがついていたら
怖くて泣いてしまうかもしれないけれど
そうならずに暖かい雰囲気で話が進むのは
それらの持つ優しさが純粋な思いを後押ししてくれるところにありそうで。

そして街の人にも、そして街の神からも愛されている珈琲店のマスター
がいつものように過ごしつつ過去を回想する過程で
気付いた1つの事実によって
戻らない時を思い知ることになる『喫茶店コスモス』。

ヒーローになりたかった男にもたらされた不思議なオファー。
生きていく中でタイミングを逃したり、不慮の悪意に遭う事によって
うまく行かなくなる状況は多々あるのだけれど
それを乗り越えられるのは
自身が過去から信じてきたものや周囲の人の言葉があったり
というところに気付かされる
『本物の変身ベルト』。

上記も含めて
この方の本のそれぞれの短篇には
脇役(時たま主役)としてネコがよく出てきて
それらは全てが幸せな状態ではないのだけれど
人間に対して何らかの感情を持って接してくれる所に暖かさを感じたり、
また、ネコに愛される人は本当にいい人なんだなぁと思ったりするのです。

物事へのこだわりを忘れかけた時に
読んでみてもいい1冊かもしれません。

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